膝関節とは?
まずは膝関節の仕組みからお話しします。
膝関節の成り立ちは、太ももにある大腿骨とスネの脛骨という骨、そしてその骨同士をつなぐ靭帯と骨と骨の間に挟まる半月板からできています。
膝関節は、「膝の曲げ伸ばし」から、「しゃがむ」、「立ち上がる」といったように下半身を動かす作用から、「体重を支える」という二つの相反する役割を同時にこなさないといけない、とても重要な関節です。
それによって、関節の固定も動きも両方兼ね備えた関節とも言えます。
関節の形は珍しく、下(脛骨側)の関節面が平面なのに対して上(大腿骨側)の関節面は丸みをおびているのが特徴です。
まるで、飛行機のタイヤが滑走路の路面に接触しているかのように見えます。そんな例えもできるのではないでしょうか?
このように、膝関節は比較的自由に動かせるような作りになっているのです。
靭帯ってなに?
しかし、そんな膝関節の動きはというと、膝の屈伸しかできませんよね?
膝をねじったり、膝を横に曲げたり、逆側に曲げたりすることはできません。
膝の関節は自由に動く作りになっているのに実際にはできないわけです。
その動きを制限させているのが靭帯なのです。
靭帯とは強い繊維状の紐のようなもので伸びることはありません。
上の骨と下の骨をしっかりとつないで外れないようにしています。
横に曲がらないように側面を固定しているのが、外側側副靭帯と内側側副靭帯の2本。
そして膝のねじれや膝の前後のズレを防止するために関節の中にあるのが、前十字靭帯と後十字靭帯の2本です。
この主要な4本の靭帯によって膝関節の固定がされているのです。
※上の図で言うと、外側側副靭帯が8番、内側側副靭帯が4番。前十字靭帯が1番で、後十字靭帯が2番です。(数字がちっちゃくてごめんなさい)
半月板ってなに?
そして膝関節の内部を見てみると、比較的柔らかい組織があります。
上の図の赤いやつです。そう、これが半月板です。
先ほども言いましたが、膝関節は上の骨と下の骨の形がぴったりフィットしていない構造なんです。
その隙間を埋める役割を半月板がしてくれています。
半月板があることで膝関節のぐらつきを防止してくれたり、膝のクッションの役割を担っています。
そして半月板は骨にがっちり固定されているわけではなく前後に動きがあります。
そのおかげで、膝関節は屈伸運動はもちろんのこと、少ない可動域ではありますが前後のスライドやねじれなど様々な方向に動くようにできているのです。
膝の痛みはどこから起こる?
ここまで膝関節の構造についてお話ししてきましたが、ではなぜ膝が痛くなってしまうのでしょうか?
その膝の痛みはどこから来るのかを探ってみましょう。
よく「膝の骨がすり減って痛い」とか「軟骨がすり減って痛い」ということがしきりに言われてますが、私は少し疑問に思うんです。
それはなぜかというと、
そもそも関節面には痛覚神経はないのです。
それはそのはずで、関節面に痛覚神経があれば立ち上がった時にすでに痛いはずです。
人間が立ち上がったり歩いたり、ジョギングしたり、高いところから飛び降りて着地しても痛みを感じないのは、関節面に痛覚神経がないからです。
よって理論的に「軟骨がすり減って痛い」というのは考えられません。
では膝の痛みはどこから来ているのでしょうか?
それは膝関節付近に張り巡らされている痛覚神経の分布を見ればわかります。
膝関節周囲で痛覚神経があるところは、関節を包んでいる袋だったり、靭帯です。
痛みの信号は膝関節周辺の関節包や靭帯、または関節の中にある十字靭帯などから発しているのです。
これを知らないと、正しい膝の治療を行う事はできません。
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