圧迫骨折とは一体なに?
圧迫骨折とは、背骨に上下からの力が加わることで椎体部分(四角い部分)が潰される骨折のことです。
よって一般的に長い骨がパキッっと折れるようなものではなく、グジュッと潰れるような表現が近いと思います。
本来脊椎というのは、真四角の骨なんですが、圧迫骨折を起こすと、前の部分がより押し潰されてしまうため、三角形のくさび状の形に変形してしまいます。
中高年の女性に多い傾向があり、年齢を重ねるにつれて起こるリスクが上がる骨折です。
圧迫骨折が起こりやすい場所がある?
圧迫骨折の起こりやすい場所はほぼ決まっています。
胸椎の12番と腰椎の1番の骨に起こります。
なぜこの場所に多いのかは理由があります。
それは、脊椎の弯曲が変わる起点の場所だからです。
上の図を見ていただくと分かるように、背中の部分は後弯(後ろに弯曲していること)していますが、腰の部分は前弯(前に弯曲していること)しています。
このように後弯から前弯に弯曲が変化するポイントには弯曲がなく、上下からの圧迫力がかかりやすい場所になります。
そのためにどうしてもこの場所に圧迫骨折が多くなってしまうのです。
よってそれ以外の場所に圧迫骨折が起こることはまずありません。
圧迫骨折が起こる原因はどんなものがあるの?
骨粗鬆症による骨の脆弱化
背景にあるのは骨が弱くなっているということが挙げられます。
それは骨粗鬆症です。
これは大腿骨の断面図ですが、骨の内部はこのように繊維状のものが張り巡らされています。
これは骨のハリ、骨梁といい、この密度が高いほど骨は補強され強い骨となります。
しかし、女性の中には何齢を重ねて閉経を迎えると、骨を作る女性ホルモンが一気に減るという現象が起こります。
そうすると、この骨の強度を司る骨梁がどんどん少なくなってきます。
そうして骨の中に空洞ができるようになります。
よく道路が大規模陥没したというニュースが報じられていますが、地盤沈下でアスファルトの下の土がなくなって、空洞化していたということが陥没の原因だと言われています。
骨にもそのような事が起こります。
骨の繊維が作られなくなると骨の中は空洞になってしまいます。
そして体重が支えられなくなると、一気に骨は潰れてしまうということが起こってしまうのです。
交通事故によるもの
実は交通事故による衝撃でも圧迫骨折は起こってしまう事があります。
追突や急ブレーキで車が急に止まると、体がくの字に曲がってしまうことで脊椎に瞬間的に大きな力がかかるためです。
尻餅などによる、地面からの突き上げによるもの
自転車で買い物中に強風に煽られ、転倒した際に尻餅を打って、その後腰がすごく痛いという事があれば、圧迫骨折を疑いましょう。
圧迫骨折は、直接その場所に衝撃が加わって起こるケースはまれで、地面から突き上げられた力が骨盤を介して起こってしまいます。
圧迫骨折が知らないうちに起こっていたというケースがある
ある女性が、人間ドッグで病院に行った際にレントゲンを撮ったら圧迫骨折が見つかり、驚かれた方がいます。
骨折というと、強い衝撃というイメージがありますから、体を強く打ったりしてなるものだと思ってしまいがちですが、この圧迫骨折に関しては、知らない間に起こるということは意外と良くあるのです。
骨が中が空洞になってしまうと、上半身の重みだけでもじわりじわりと潰れていくこともあります。
あまり自覚症状がなく起こってしまうこともあるそうです。
圧迫骨折を治療する方法は保存療法が多い
骨が潰れてしまているので、元にもどすのは基本的にはできません。
保存療法で治すには、痛みが出ないようにコルセットで固定をしながら安静して痛みが鎮まるのを待つしかありません。
骨の潰れ方がひどく、すぐ後ろの神経を圧迫する恐れがある場合や、あまりにも猫背がひどくなるときは椎体を再建する手術を行うこともあります。
圧迫骨折を起こした場合の今後のリスク
腰痛、背部痛
今まで背部のハリや腰痛などがなかった人でも、圧迫骨折をおこしてしまうと腰や背中に負担がかかり始めてしまいます。
よって腰痛になったり、背中の筋肉の張りが辛く感じたりする事があります。
神経疾患
先ほども言ったように、背骨のすぐ後ろには脊髄が通っています。よって背骨の配列や弯曲が変化してしまって、神経症状を起こしてしまうリスクも考えられます。
画像診断でその危険性がある場合は、手術を検討する必要があるでしょう。
猫背、円背
圧迫骨折のリスクの大きな悩みに姿勢の問題が考えられます。
骨折した場所を起点に背筋が丸まってしまいやすくなるのです。
以前は姿勢が良かったのに、圧迫骨折を起こしてからどんどん姿勢が悪くなってきたという人はかなり多いのが現状です。
だからと言って諦めるのではなく、特に姿勢を良くすることを日頃から心がけましょう。
骨折した部分の骨の形状によって、猫背になりやすい背骨になっているのは確かですが、日頃から良い姿勢を心がけることで、姿勢の悪化は抑えられます。
このようにして圧迫骨折のことをちゃんと理解して、うまく付き合っていくようにしましょう。
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